あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
心配してくれているのはわかるのだが、この言葉足らずでかつ強引な行動からその気遣いを素直に受け取れず、気付けばいつものようにキャンキャン言い合いをした結果――


「――何しとるんだね、君たちは」
「「ハッ」」

あっと思った時にはもう遅く、バッチリ当時の部長に見つかっていた。

見つかった事をいい事にしれっと広間に戻った私を渋々盛岡が追いかけ、再び瓶ビールを片手に接待回りをする私の隣を何故かずっと付いて回り⋯


「ほら、山形君も一杯⋯」
「ありがとうございます、いただき⋯」
「僕が彼女の代わりにいただきます、彼女飲み過ぎですので」
「おぉ、いい飲みっぷりだね盛岡くん!」


⋯なんて、私に出されたお酒を隣でどんどん飲んだ結果⋯



「⋯まぁ、こうなるわよね⋯」
「う、うぅう⋯」

“ぶっちゃけ私が飲んだ方が絶対良かったわ⋯”
はぁ、とため息を吐きつつ自販機で買った水を開けて手渡すと、まるで子リスのようにちびちびと飲んでいた。

“⋯ぷっ、図体がデカいだけに面白いわね”

その姿が少し私を愉しくさせ、やたらと目に焼き付く。
暫くそんな盛岡を眺めていると、パタパタと後輩が走り寄ってきて。
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