あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
“あの頃は上手く言えなかったけど⋯”
「ありがとう、嬉しい!」
「そうか」
今ではすっかり言えるようになった、素直な気持ちを盛岡⋯⋯じゃなくて、大輔に告げると、仏頂面な彼もふっと微笑んでくれた。
「理香子」
「ん?」
靴を脱いだ私は、呼ばれた方をパッと見上げてー⋯
ちゅ、と掠めるだけの口付けがひとつ。
「なっ、ば、ばか!」
「なんで?夫婦なんだから別にいいだろ」
「そう、だけど⋯」
「今日そっちどうだった?」
「相変わらずよ、相変わらず」
――初めて大輔と体を重ねたあの夜。
目が覚めると、何故かベッドに半裸で座っていたその男は「責任を取れ」と迫ってきた。
「は、はぁ!?私が責任取るの!?」
「お前が俺を連れ込んだんだろ」
「あんたが私を抱いたんでしょ!」
「じゃあ責任を取らせてくれ」
「じゃあって何よ、じゃあって!!」
寝起きで何故こんな言い合いをしてるのか、と唐突に冷静になった私は冷静になればなるほど可笑しくて。
「⋯責任って、例えば?」
「結婚を前提に付き合ってくれ。今すぐ結婚でもいいが」
「よ、良くないわよ!?」
結婚したら部署異動。
「ありがとう、嬉しい!」
「そうか」
今ではすっかり言えるようになった、素直な気持ちを盛岡⋯⋯じゃなくて、大輔に告げると、仏頂面な彼もふっと微笑んでくれた。
「理香子」
「ん?」
靴を脱いだ私は、呼ばれた方をパッと見上げてー⋯
ちゅ、と掠めるだけの口付けがひとつ。
「なっ、ば、ばか!」
「なんで?夫婦なんだから別にいいだろ」
「そう、だけど⋯」
「今日そっちどうだった?」
「相変わらずよ、相変わらず」
――初めて大輔と体を重ねたあの夜。
目が覚めると、何故かベッドに半裸で座っていたその男は「責任を取れ」と迫ってきた。
「は、はぁ!?私が責任取るの!?」
「お前が俺を連れ込んだんだろ」
「あんたが私を抱いたんでしょ!」
「じゃあ責任を取らせてくれ」
「じゃあって何よ、じゃあって!!」
寝起きで何故こんな言い合いをしてるのか、と唐突に冷静になった私は冷静になればなるほど可笑しくて。
「⋯責任って、例えば?」
「結婚を前提に付き合ってくれ。今すぐ結婚でもいいが」
「よ、良くないわよ!?」
結婚したら部署異動。