あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
2.自作のお弁当を温める
“ー⋯そう、あの時は⋯”
営業部、という部署の特性上昼休みに“昼”が取れる事なんてむしろ稀で。
その日も14時過ぎたあたりでやっと休憩が取れた私は前日の晩ご飯をタッパーに詰めただけのお弁当をレンジで温めていた。
「あぁー⋯お腹すいたぁ⋯」
はぁ、とため息を溢しつつ給湯室の壁にもたれていた、そんな時⋯。
ボンッ!と電子レンジから割りと大きな音がして。
“ぎゃ!”
しまった、温めすぎたか!?と後悔してももう遅く、そしてその音に驚いて給湯室に飛び込んできたのはなんの因果か気に食わない同期の盛岡だった。
「おい!次は何を温めた!」
「な、なによ!私がまた使い方間違ったみたいに!ただのお弁当よ!!」
ただのお弁当、という言葉を怪訝な顔で黙らせた盛岡は、謎に私の前に立ってレンジの扉を開けた。
“今思えばアレ、開けた時に破裂した食材で火傷しないよう庇っていたつもりなのかも⋯”
なんて今なら気付くが、当時の私はそんな気遣いに気が付くはずもなく⋯
「⋯おい、山形これ⋯」
「え、なに?そんな酷い?ちょっとアンタの背中で見えないんだけど」
営業部、という部署の特性上昼休みに“昼”が取れる事なんてむしろ稀で。
その日も14時過ぎたあたりでやっと休憩が取れた私は前日の晩ご飯をタッパーに詰めただけのお弁当をレンジで温めていた。
「あぁー⋯お腹すいたぁ⋯」
はぁ、とため息を溢しつつ給湯室の壁にもたれていた、そんな時⋯。
ボンッ!と電子レンジから割りと大きな音がして。
“ぎゃ!”
しまった、温めすぎたか!?と後悔してももう遅く、そしてその音に驚いて給湯室に飛び込んできたのはなんの因果か気に食わない同期の盛岡だった。
「おい!次は何を温めた!」
「な、なによ!私がまた使い方間違ったみたいに!ただのお弁当よ!!」
ただのお弁当、という言葉を怪訝な顔で黙らせた盛岡は、謎に私の前に立ってレンジの扉を開けた。
“今思えばアレ、開けた時に破裂した食材で火傷しないよう庇っていたつもりなのかも⋯”
なんて今なら気付くが、当時の私はそんな気遣いに気が付くはずもなく⋯
「⋯おい、山形これ⋯」
「え、なに?そんな酷い?ちょっとアンタの背中で見えないんだけど」