夢を追って、少女はオトナになる。
01 少女、コドモにつき。
時計は音を立てながら、長針が短針に重なろうと追いかけている。
朝とは言えない太陽の光は、いい加減にしろと言わんばかりにカーテンの隙間から容赦なく差し込んでいる。
時期的には最高だが、昨晩は少し暑苦しかった羽毛布団の中から、スズは手だけを外に出した。
枕元にあるはずのスマホを気合いで探す。
まだ頭は働いていないため、これが限界だ。
何度か枕を叩いたのち、やっと無機質な文明の機器に手が当たった。
握りしめたまま、再度布団の中へ。
真っ暗な布団の中が、想像の何倍も明るく照らされた。
まだ開いていないはずの目が、なぜか細まった気がした。
「・・・まぶしっ・・・て、ことは・・・」
いつもは寝る前に画面を最大限暗くするはずだ。
嫌な予感がした。