夢を追って、少女はオトナになる。
「・・・やっぱり・・・」
人間、諦めることに慣れてくると驚きも慌てもしなくなるものだな。
スズはうっすら開いた目を再度閉じかけたが、さすがにこれ以上の現実逃避もよくない。
無機質なはずの画面には、大きく「11:23」と表示されている。
その下には何か事件でもあったのではないかと思われる量の不在着信が並んでいる。
「・・・出席・・・必修だったよな確か・・・」
スズの大学では授業の欠席は2回まで許されるが、3回目は強制的に落単となる。
よりによって今日は必修の授業で、これを取らないと卒業できないのだ。
スズは昨日の自分を思いっきり恨んだ。
なぜ目覚ましをかけなかったのか、なぜ通知をオンに切り替えなかったのか、なぜ・・・