夢を追って、少女はオトナになる。
【私はもう起こしたよ。出席だけ取っとくから、早くきて。】
さっきまで後悔と温もりで堕落しそうになっていた私の心が、突如、鶴の一声でなんとか持ち堪えた。
それどころか、急に目の前が明るくなったのだ。
物理的に男と布団を払いのけたのもあるが。
「落単回避じゃん!!!」
スズはカーテンを思いっきり開けた。
今みたいなテンションの高い寝起きは、有名な某アニメーション映画のワンシーンだけだと思っていた。
こんなシチュエーション、教育上正反対な位置付けとは言わせない。
それぐらい、今のスズは救われた気分だったのだ。
何せ、卒業できないなんて、これ以上世間一般から外れることだけは勘弁だ。