トクベツにならないで〜独占欲の強い少女は人気アイドルになびかない〜
ナンパやスカウトの声、周りからの視線はスルーしてゆっくり歩く。
いつも通りそうしていると近くから大きな歓声が聞こえた。
いや、悲鳴と言ってもいいかもしれない。
(…うるさいな)
不運なことに悲鳴が聞こえた道を通らないとショッピングモールには行けない。
仕方ないのでイアホンを差し込み、音楽を流す。
近づいていくとあるお店の周りにカメラやマイクなどがあった。
テレビの撮影でもしているらしい。
その周りにはたくさんの女が囲んでいて、
私は不機嫌を隠そうともせずに眉間を寄せた。
(………あーあ最悪)
気持ち悪い声がイアホンごしでも聞こえる。
私は音量を上げてもうその店には見向きもせずに歩いて行った。
「……見つけた」
そんな声には気づかずに。