トクベツにならないで〜独占欲の強い少女は人気アイドルになびかない〜
類side
綾那が去った教室ではクラスメイトが興奮して話している。
「ねぇ、見た!?あの一ノ瀬さんの笑顔!!」
「見た!やばかったよね!!美しすぎたんだけど!」
「高嶺の花の笑顔を見れるなんて……ほんと私たち幸せ者だよ〜。目の保養〜」
「同じクラスってだけでも幸せなのにねぇ」
綾那は勘違いしているようだが、このクラスメイトのほとんどは綾那に好意的だ。
さっき綾那と類が話していたときに視線が多かったのも、美少女とイケメンのツーショットをみたかっただけである 。
そんな中、類に話しかけようとした女子たち……
いわゆる、クラスカースト上位の女子が類に聞こえるぐらいの声量で話し出した。
「ほんと、一ノ瀬さんって顔はいいけど愛想ないのよね!」
「ほんとそれ!私たちが話しかけてやった時だって無視してきたもんねー」
「性格悪いよねぇ」
「類くんも可哀想〜」
恥ずかしくないのだろうか?
陰口言う方が性格悪いと思うのだが……。
まあ、ああ言う奴には話しても無駄だ。
話しても聞いてもらえないのがオチ。二の足を踏むだけだ。
俺はそいつらを無視して席につく。
それからも昼の時間になるまで一ノ瀬さんは帰ってこなかった。
(そろそろ仕事の時間だ。三木さんが待ってるかもしれない)
三木さんとは俺たちのグループ、be shineのマネージャーだ。
いつも俺たちの活動を陰から支えてくれている。
俺は席を立ち、校門へ向かった。