アビス
003
連絡先を交換したその日から、
僕らは3人で外で食事をしたり、
美音ちゃんが行きたがっていた動物園や
遊園地に遊びに行ったりした。
遊びに行った帰り道、
僕が運転して、美華さんは助手席。
後部座席では美音ちゃんが
遊び疲れたのか眠っていた。
『毎回付き合ってもらってごめんねー
もうなんかすっかり懐いちゃってさー』
美華さんは申し訳なさそうに
困った顔をして僕に謝る。
「僕も楽しいからいいんです。
むしろ誘ってくれて有難うございます。」
『家でも、ゆうちゃんは?って
ずっと聞いてくるんだから!』
「これは惚れられちゃいましたかねー」
そんな会話をしながら
僕らはクスクス笑った。
やっと二人が住むお家に到着して
駐車場に車を停めた。
後部座席で寝ている美音ちゃんを
抱っこしようとする美華さんに
「あ、僕が運びますよ」
と言って代わりに美音ちゃんを抱き抱えた。
『ありがとう』
「いえいえ」
美華さんが家の鍵を開けて先に入り、
抱っこされている美音ちゃんの靴を脱がせた。
「お邪魔します」
美華さんに寝室まで案内され、
ベッドに美音ちゃんを優しく下ろし
寝かせた。
寝室を静かに出て玄関に向かおうとしたら
『長距離の運転疲れただろうし
時間大丈夫ならゆっくりして行きなよ』
美華さんが僕を見上げて言った。
「んー…」
『ん?』
「うーん…」
『いや無理はしなくていいよw』
「いや、多分何も予定なかったはずなんで
お言葉に甘えます」
『多分かい!笑』
リビングに案内されて、
『テキトーにくつろいで』
と言われた僕は、
ダイニングテーブルの
椅子に座った。