Magic
琴葉はあのマジックショーを見たあの日からマジシャンになることを夢見ている。しかし、両親は琴葉に普通に大学に行き、普通にどこかの会社へ就職する未来を望んでいる。進路のことで最近は琴葉は揉めることが多くなっていた。

「まあまあ、琴葉がやりたいことを全力で応援してあげたらどうだい?一度もチャレンジしていないのに、「やるな」なんて可哀想じゃないか」

険悪な雰囲気になりかけた部屋に、明るい声が響く。発したのは琴葉の祖父だった。祖父母だけは琴葉の夢を応援してくれている。

「おじいちゃん!ありがとう!」

琴葉が笑顔を浮かべると、祖父はニコニコと笑みを浮かべながら懐から何かを取り出す。それは何かのチケットのようだ。

「琴葉、誕生日おめでとう。これはおじいちゃんからのプレゼントだよ」

「これって……あのOZのプレミアムチケット!?嘘!!こんなの貰っていいの!?」

OZというのは、人気マジック団の名前のことだ。日本ではそれまで馴染みがなかったマジックを広めようと、日本人マジシャンが集まり、その名は全国に広まっている。今では、マジックショーが開催されるたびにチケットは即完売するほどの人気である。
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