Magic
そのマジック団に琴葉は憧れており、OZに入団することを密かに夢見ている。しかし、今まではチケットを取ることができず、マジックショーを生で見たことはなかった。

「おじいちゃん、ありがとう!!楽しんでくる!!」

そう言い飛び跳ねてはしゃぐ琴葉を祖父は微笑ましく見つめており、その隣で母がため息を吐いていた。



それから一週間後、琴葉は胸を高鳴らせながら電車へと乗り込む。今回マジックショーが開催されるのは横浜だ。

(すっごく楽しみ!)

時計で何度も時間を確認しながら、琴葉は会場周辺にあるお店を見て時間を潰す。一分一秒が早く過ぎてしまわないかと願ってしまうほど、待ち遠しかった。

時間になり、会場へと琴葉は入る。老若男女様々な人たちが会場の椅子へと座り、マジックショーが始まるのを今か今かと待っている。

会場の明かりがゆっくりと消えていき、会場中から拍手が響いていく。スポットライトがステージを照らし、そこに英国紳士のようなタキシードを着こなした男性が姿を見せた。
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