Magic
「お集まりいただいた皆様、OZへようこそ!私は団長の遠山零(とおやまれい)です。最後までどうぞお楽しみください」

零がそう言い頭を下げると、ステージの上から薔薇の花びらが降り注ぐ。美しい雨に琴葉は一瞬にして心を奪われてしまう。

「すごい、さすが遠山零……」

ステージの上で次々とマジックを披露していく零を見て、琴葉はポツリと呟く。零は二十三歳という若さでOZを作り、日本にマジックを広めた。琴葉が一番尊敬しているマジシャンである。ちなみに彼のルックスは華やかで整っているため、彼のルックスに惚れてOZのファンになった人も少なくない。

動物を使ったマジック、脱出マジック、人形を使ったマジックなど、様々なマジックが披露されていく。種を考えさせる隙すら与えない完璧で美しいマジックに、琴葉の胸はずっと弾んでいく。

「わぁ……!」

まるで、初めてマジックを見たあの日のようである。もう十八歳になったというのに、琴葉の心の中にいる八歳の子どもが心の中ではしゃいでいる。
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