Magic
「さて、皆さん!今日は新しいマジックを披露したいと思います!」

ステージの上で零がそう言うと、会場が拍手と歓声に包まれる。琴葉も、憧れのマジシャンの新しいマジックに興奮していく。

(遠山さんの新しいマジックをこの目で見られるなんて……!)

琴葉の胸が弾んでいく中、ステージの上に人が一人入れるほどの大きさの箱が用意された。零はステージを歩きながら言う。

「今からこの箱の中にどなたかに入ってください。私が三秒数えると、箱の中に入っている人は一瞬にして消えてしまいます」

会場が騒つく。すると、不意に琴葉と零の目が合った。彼の黒曜石のような目が細められる。

「ではそこのお嬢さん。あなたにこのマジックのお手伝いをお願いしてもいいですか?」

「は、はい……!」

緊張を覚えながら琴葉はステージへと立つ。零が微笑みながら手を差し伸べ、琴葉はドキドキしながらその手を取った。

「箱の中に入ってください」

「はい」
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