転校から始まる逆ハーレム(本人に自覚なし)
「さ、咲ちゃんとも一緒に行きたい…」
叶くんが悲しそうな顔をする。
「僕だけじゃ…ダメ?」
困っている私の横にスッと咲ちゃんが現れた。
「梨奈の友達になった加賀美咲。有名な雪叶くんの噂は聞いてるよ?梨奈のご指名には答えなくっちゃ。なんなら雪がいなくてもいいんだよ?」
さ、咲ちゃん?どことなく冷たいな。
「三人で行っちゃダメ?」
叶くんが少し黙ってから
「いいよ…でも帰ったら一緒にテレビ見てね?」
と言ってくれた。やったぁ!咲ちゃんともいける!
「もちろん!」

「ここが一年の教室でここをまっすぐ行くと音楽室。ここを曲がると自販機や購買があるよ」
叶くんが説明してくれる。心なしか咲ちゃんと睨み合ってるような…
「ねぇ梨奈は本は好き?」
「うん!大好き!」
「うちの図書館の蔵書の量はすごいよ!絶対好きだから行こう?」
「行く!!」
叶くんが寂しそうな顔をコチラに向けている。
「あ、ごめんね?」
叶くんはニコッと笑って
「姉ちゃんは悪くないよ。ちょっと遠慮が足りない人がいるだけで」
と言った。
「独り占めして学校案内する気だったくせに」
咲ちゃんがなにかをつぶやく。二人に間に火花が散った気がした。
2人って仲悪かったんだ…やめとけばよかったかな…でもさくちゃんと遊びたいし…
「図書館到着!」
咲ちゃんが扉を開けると大量の本が目に飛び込んできた。
「す、すごい!」
いろいろなところを見て回っていると棚の影に身長が私より少し小さい男の子が座っていた。制服も違うし…中学生?
「ここは付属中学があるからね。中学生と共同の図書館なんだ。」
後ろから来た叶くんが教えてくれる。なるほど。でもこの子誰かに似て…
「陸みっけ」
後ろから来た咲ちゃんが声をかけた。
「姉さん…」
男の子が顔を上げる。あ、この2人そっくり!
「私の弟の加賀美陸!ちょうど図書館に来る日だったんだね?」
「…」
こくん。加賀美くんが頷く。
< 12 / 22 >

この作品をシェア

pagetop