転校から始まる逆ハーレム(本人に自覚なし)
高梨くんの視線を避けながら授業を受け続けていたら、2限目が終わったタイミングで高梨くんが私に声をかけてきた。
「睨まれているけど大丈夫?」
睨まれる視線をそっともう一度確認すると…あれ?さっきよりも増えてる!?
ちらりと向かいの彼をみて気がついた。増えた視線はこの人のファンかもしれない。キラキラとして見える甘い顔立ち。優しげに取り繕った笑顔。側から見たら授業中ずっと笑顔で私を見てたように見えたのかもしれない。
「だ、大丈夫です。」
彼の不自然な笑顔が怖くて視線を逸らす。そんな私に高梨くんは一瞬驚いた顔をした気がした。
「君さ、睨んでる女の子たち叶のファンだけど叶と仲良いの?」
勝手に姉弟だと言っていいのかわからずそっと俯くと不自然な笑みが深まる。
「言えない?もしかして付き合ってる?」
付き合う…!?驚いて顔を上げると目が合う。自然と不気味な笑顔と対峙してしまう。どうしよう。すごく…怖い。
「はい!ストップ〜!」
明るい声がして顔を向けると咲ちゃんが立っていた。
「さくちゃん!」
小走りで彼女の後ろに隠れると向かいの彼がまた驚いたような顔をした。
そこに高梨くんの友達っぽい男の子が寄ってくる。
「佑月ダメだよ。日比野さんが困ってる。」
優しそうなその男の子は垂れ目気味で綺麗な顔立ち、温かな雰囲気を持っている。ホッと力を抜くとわずかに高梨くんの顔に怒りが浮かんだような…気のせい?
「日比野さん大丈夫?僕は佑月の友達の篠宮歩だよ。佑月…高梨はね女の子が苦手な叶くんと仲がいい君がちょっと気になったんだと思う。佑月女の子に好かれやすいからこんなに怯えられることあまりなくて…許してあげて?」
空気がほんわかとしていて落ち着く…。
「うん!ありがとう篠宮くん!」
満面の笑みを浮かべると篠宮くんに目を逸らされてしまった。馴れ馴れしかったかな…
< 9 / 22 >

この作品をシェア

pagetop