あなたが好きだと言いたかった。
4. 絶望からの挑戦
地区大会も間近に迫っているというのに青山君たちはこれからやっとの思いで再スタートです。 「ずいぶんと邪魔されたもんだなあ。」
久しぶりにユニフォームを着てグラウンドへ、、、。 そう、やっとの思いでみんなは帰ってきたんです。
優紀もスコアブックを抱えて名志田先生の話を聞いています。
「だからな、今日からはバッティングと守備を徹底的に鍛える。 覚悟するんだぞ!」 「うわー、鬼が鬼になってる。」
「山下、抜けたいなら今のうちに抜けてもいいぞ。」 「いえ、やります。 やりますよ。」
そんなわけで放課後のグラウンドにあの元気な声が響き渡りました。 「行くぜーーーーーーーー!」
「柿沢、気合入れ過ぎだって。」 「これくらい入れないと本番で勝てないよ。」
「まあまあ、そんなに力むなよ。 試合はまだ先なんだから。」 この頃になると高野連もやっと折れて試合の日程を発表したのですが、、、。
青山君は何となく顔色が優れません。 「どうした?」
「いや、いろいろと有り過ぎたんで疲れてるんですよ。」 「そうか。 無理するなよ。」
コーチの石橋先生もどっか心配でなりません。 「球の走りはいいな。 コースも際どい所を突いてくるしいいだろう。」
「球ってこれかなあ?」 セカンドの郡山君が股間を指差していますが、、、。
「バッカみたい。 お前の玉なんて見たくもねえよ。」 ショートの吉沢君が突っ込みます。
そこへコーチがフライを打ちあげました。 「こらこら、ちゃんと取れ! 馬鹿!」
「すんまへーーーーん。」 「変な所に突っ込むから落とすんだよ。 しっかりしろ!」
万年初戦敗退校が息を吹き返したみたいですねえ。 青山君と北村君は継投をどうするか話し合ってます。
「そうだな、ぼくが先に投げてしまうと相手も緊張してしまう。 5回くらいまでは北村君に投げてもらった方がいいかも。」 「5回?」
「そう。 3巡目くらいかな。 そろそろ目が慣れてくるころだ。 そこで代ろう。」 「よし。 次の日曜日は紅白試合をやる。 田原、お前は白組のキャプテンだ。 いいな。」
名志田先生も少しずつ手ごたえを感じてはいるようですね。 優紀はスコアブックを見ながら驚きました。
三振がほとんど無くなっている。 当てるだけでも当ててるんでしょう。
(青山君の影響ってすごいなあ。) 入学式のあの日以来、彼女はドキドキが止まらないみたい。
練習が終わった後、青山君が昇降口で優紀に駆け寄ってきました。 「ケーキ ありがとう。」
それだけ言うとバッグを肩にかけて走り去っていきました。 (食べてくれたんだ。)
校門を出ると名志田先生の車が駐車場から出てくるのが見えました。 「おー、優紀か。 青山が喜んでたぞ。 しっかり頼んだぞ。」
優紀は走り去る名志田先生の車をじっと追いかけながら思いました。 (私、やっぱり青山君のことが好きなんだな。)
とはいえ、地区大会まで時間は有りません。 ドタバタ続きで野球部は無茶苦茶、、、。
「おいおい、大会まであと2週間だと? そんなんで何が出来るんだよ?」 「分からん。 兎にも角にもぶつかるしかないんだ。 俺たちは。」
「ってことはさあ、朝からやってないと手ごたえも掴めないぜ。 どうするんだよ?」 「文句を言ってる暇は無いんだ。 投げて撃って走って取る。 これでいいだろう?」
「んじゃあ、やるしかないな。 おーい、やるぜ!」 センターの高井君も気合を入れ直してます。
「兎にも角にも日数が少ないんだ。 一日かけてやれる所までやろう。」
名志田先生もどうやら捨て身の覚悟のようですが、、、。 そんなグラウンドに新しく赴任する校長がやってきました。
「野球部の皆さん 頑張ってるね。 時間は無いけれど全力を尽くしてほしい。」 北村君たちはボールを追い掛けながら校長の声を聴きました。
今はとにかくボールを追い掛けて必死に走るしかありません。 優紀も涙が出そうなくらいに思い詰めていました。
でも青山君の顔がどこか冴えないのです。 (調子でも悪いのかな?)
気にはなりますが、大会前のことです。 聞くわけにもいかず胸に仕舞い込みました。
仲間たちは次の日もグラウンドを走り回っています。 青山君は30球ほど投げ込んでからグラウンドの隅に座り込みました。
(久しぶりだから疲れたんだろうなあ。) 優紀も心配そうに覗き込んでいます。
スポーツドリンクを飲みながら名志田先生とコースチェックをしていますね。 「その調子だ。 お前のインハイは打てないからなあ。」
「でもどっか定まらなくて、、、。」 「ここしばらく事件が続いたから疲れてるんだ。 ゆっくり寝たら吹き飛ぶよ。」
「それもそうですね。」 明るく笑ってはいるものの、いつもの青山君ではないようです。 優紀はスコアブックを見ながら溜息ばかり、、、。
そこへファーストの山岡君が取り損ねたボールが、、、。 「いてえーーーーーーーーーー!」
「おいおい、優紀! ちゃんと見ててよ。」 「ごめんごめん。」
「何 考えてるんだ?」 「ああ、分かった。 青山にいつプロポーズしようかって考えてたんだろう?」
「そんなんじゃないってば、、、。」 「わ、優紀が赤くなってら、、、。」
「こらこら、お前たち 揃いも揃って優紀を虐めるんじゃないぞ。 真面目にやれ!」 「ふぁーーーーーい。」
「吉村、辞めたいんなら辞めてもいいけどどうする?」 「どうする?って言われてもなあ。」
「やりたかったら走ってこい!」 名志田先生もチームを引き締めるのに懸命なんですね。
とはいえ、試合まであと少し。 こんなチームで勝てるんでしょうか?
久しぶりにユニフォームを着てグラウンドへ、、、。 そう、やっとの思いでみんなは帰ってきたんです。
優紀もスコアブックを抱えて名志田先生の話を聞いています。
「だからな、今日からはバッティングと守備を徹底的に鍛える。 覚悟するんだぞ!」 「うわー、鬼が鬼になってる。」
「山下、抜けたいなら今のうちに抜けてもいいぞ。」 「いえ、やります。 やりますよ。」
そんなわけで放課後のグラウンドにあの元気な声が響き渡りました。 「行くぜーーーーーーーー!」
「柿沢、気合入れ過ぎだって。」 「これくらい入れないと本番で勝てないよ。」
「まあまあ、そんなに力むなよ。 試合はまだ先なんだから。」 この頃になると高野連もやっと折れて試合の日程を発表したのですが、、、。
青山君は何となく顔色が優れません。 「どうした?」
「いや、いろいろと有り過ぎたんで疲れてるんですよ。」 「そうか。 無理するなよ。」
コーチの石橋先生もどっか心配でなりません。 「球の走りはいいな。 コースも際どい所を突いてくるしいいだろう。」
「球ってこれかなあ?」 セカンドの郡山君が股間を指差していますが、、、。
「バッカみたい。 お前の玉なんて見たくもねえよ。」 ショートの吉沢君が突っ込みます。
そこへコーチがフライを打ちあげました。 「こらこら、ちゃんと取れ! 馬鹿!」
「すんまへーーーーん。」 「変な所に突っ込むから落とすんだよ。 しっかりしろ!」
万年初戦敗退校が息を吹き返したみたいですねえ。 青山君と北村君は継投をどうするか話し合ってます。
「そうだな、ぼくが先に投げてしまうと相手も緊張してしまう。 5回くらいまでは北村君に投げてもらった方がいいかも。」 「5回?」
「そう。 3巡目くらいかな。 そろそろ目が慣れてくるころだ。 そこで代ろう。」 「よし。 次の日曜日は紅白試合をやる。 田原、お前は白組のキャプテンだ。 いいな。」
名志田先生も少しずつ手ごたえを感じてはいるようですね。 優紀はスコアブックを見ながら驚きました。
三振がほとんど無くなっている。 当てるだけでも当ててるんでしょう。
(青山君の影響ってすごいなあ。) 入学式のあの日以来、彼女はドキドキが止まらないみたい。
練習が終わった後、青山君が昇降口で優紀に駆け寄ってきました。 「ケーキ ありがとう。」
それだけ言うとバッグを肩にかけて走り去っていきました。 (食べてくれたんだ。)
校門を出ると名志田先生の車が駐車場から出てくるのが見えました。 「おー、優紀か。 青山が喜んでたぞ。 しっかり頼んだぞ。」
優紀は走り去る名志田先生の車をじっと追いかけながら思いました。 (私、やっぱり青山君のことが好きなんだな。)
とはいえ、地区大会まで時間は有りません。 ドタバタ続きで野球部は無茶苦茶、、、。
「おいおい、大会まであと2週間だと? そんなんで何が出来るんだよ?」 「分からん。 兎にも角にもぶつかるしかないんだ。 俺たちは。」
「ってことはさあ、朝からやってないと手ごたえも掴めないぜ。 どうするんだよ?」 「文句を言ってる暇は無いんだ。 投げて撃って走って取る。 これでいいだろう?」
「んじゃあ、やるしかないな。 おーい、やるぜ!」 センターの高井君も気合を入れ直してます。
「兎にも角にも日数が少ないんだ。 一日かけてやれる所までやろう。」
名志田先生もどうやら捨て身の覚悟のようですが、、、。 そんなグラウンドに新しく赴任する校長がやってきました。
「野球部の皆さん 頑張ってるね。 時間は無いけれど全力を尽くしてほしい。」 北村君たちはボールを追い掛けながら校長の声を聴きました。
今はとにかくボールを追い掛けて必死に走るしかありません。 優紀も涙が出そうなくらいに思い詰めていました。
でも青山君の顔がどこか冴えないのです。 (調子でも悪いのかな?)
気にはなりますが、大会前のことです。 聞くわけにもいかず胸に仕舞い込みました。
仲間たちは次の日もグラウンドを走り回っています。 青山君は30球ほど投げ込んでからグラウンドの隅に座り込みました。
(久しぶりだから疲れたんだろうなあ。) 優紀も心配そうに覗き込んでいます。
スポーツドリンクを飲みながら名志田先生とコースチェックをしていますね。 「その調子だ。 お前のインハイは打てないからなあ。」
「でもどっか定まらなくて、、、。」 「ここしばらく事件が続いたから疲れてるんだ。 ゆっくり寝たら吹き飛ぶよ。」
「それもそうですね。」 明るく笑ってはいるものの、いつもの青山君ではないようです。 優紀はスコアブックを見ながら溜息ばかり、、、。
そこへファーストの山岡君が取り損ねたボールが、、、。 「いてえーーーーーーーーーー!」
「おいおい、優紀! ちゃんと見ててよ。」 「ごめんごめん。」
「何 考えてるんだ?」 「ああ、分かった。 青山にいつプロポーズしようかって考えてたんだろう?」
「そんなんじゃないってば、、、。」 「わ、優紀が赤くなってら、、、。」
「こらこら、お前たち 揃いも揃って優紀を虐めるんじゃないぞ。 真面目にやれ!」 「ふぁーーーーーい。」
「吉村、辞めたいんなら辞めてもいいけどどうする?」 「どうする?って言われてもなあ。」
「やりたかったら走ってこい!」 名志田先生もチームを引き締めるのに懸命なんですね。
とはいえ、試合まであと少し。 こんなチームで勝てるんでしょうか?