姉の婚約者はワルイ男
「今から2人で夕飯作って食べるの。母さんは早く帰って」
「あら、2人でいつも夕飯作ってるの?仲いいわね、ふふ」
「いや、だから、母さん……」
あの松葉さんが、お母さんの前ではたじたじになっている。
松葉さんはお母さんの前ではこうなるんだと、また新たな発見があって楽しかった。
「ねー、柚葉ちゃん。私も一緒に夕飯ごちそうになってもいいかしら?」
「もちろんいいですけど、でも簡単な料理しか……わたしも料理は苦手で」
「そんなのいいのよ。私なんていつも手抜き料理ばかりなんだから」
とんでもないことになった。
彼氏のお母さんと会ったその日に、手料理をごちそうすることになるなんて。
「ダメ。母さんは帰って。料理はまた今度」
「どうしてよ、いいじゃない」
「ダメなものはダメ。食材足りないから」
「もう……頑固ね、あなたも。誰に似たのやら。わかったわよ、今日のところは大人しく言うことを聞いてあげるわ」