姉の婚約者はワルイ男



「今から2人で夕飯作って食べるの。母さんは早く帰って」

「あら、2人でいつも夕飯作ってるの?仲いいわね、ふふ」

「いや、だから、母さん……」


あの松葉さんが、お母さんの前ではたじたじになっている。

松葉さんはお母さんの前ではこうなるんだと、また新たな発見があって楽しかった。


「ねー、柚葉ちゃん。私も一緒に夕飯ごちそうになってもいいかしら?」

「もちろんいいですけど、でも簡単な料理しか……わたしも料理は苦手で」

「そんなのいいのよ。私なんていつも手抜き料理ばかりなんだから」


とんでもないことになった。

彼氏のお母さんと会ったその日に、手料理をごちそうすることになるなんて。


「ダメ。母さんは帰って。料理はまた今度」

「どうしてよ、いいじゃない」

「ダメなものはダメ。食材足りないから」

「もう……頑固ね、あなたも。誰に似たのやら。わかったわよ、今日のところは大人しく言うことを聞いてあげるわ」


< 102 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop