姉の婚約者はワルイ男
時間がたっても、元には戻らなくて、あっという間に同窓会まで約1週間前となった。
この日はちょうど金曜日で、明日は松葉さんの家に行く日。
明日はどんな顔で会えばいいのかわからなくて、気合を入れ直したときだった。
仕事から帰ると、なぜか玄関先に松葉さんがいたのだ。
そして、姉から何やら紙袋のようなものを受け取っている。
いったい何をしているんだろう。
不思議に思ってその場に立ち止まっていると、わたしに気づいた姉が松葉さんに視線を送っている。
わたしが帰ってきたと伝えていたのだろう。
彼も仕事帰りのようで、きりっとスーツで決めた松葉さんが振り返って「おかえり」と言った。
どうして松葉さんが家に来ているのかもわからないまま2人に近づいていくと、彼がそっと手を握ってくる。
「じゃあ、芝池さん。ありがとうございました」
「いーえ、ゆずは素直じゃなくて大変でしょう?よろしくね、松葉さん」
「おねーちゃん、一言余計だよ。それから、松葉さん、手離してください」