姉の婚約者はワルイ男
「まさかクラスの子のお兄ちゃんが犯人だったなんて。ビックリしましたね」
「ねー。気弱なにーちゃんだと思ってたのに、まさかだったよね」
これまでも犯人はやっぱり刑事さんじゃないのか、教頭先生じゃないのかといろいろ考察をしてきた。
でも、その期待を明らかに上回る大満足のドラマだったと思う。
わたしたち2人はソファーに座って、余韻にひたっていた。
「柚葉ちゃん、気はまぎれた?」
「え?」
「最近元気なかったからね、柚葉ちゃん」
やっぱり今日の突然のお迎えは、わたしのことを気にかけてくれていたからだったんだ。
でも、元気がなかった原因は松葉さんにもあるなんて、すぐには言えない。
「俺さ、考えたんだけど。柚葉ちゃんの様子がおかしくなったのって、同窓会の話をしたころからだよね」
あのときは、気づいた様子じゃなかったのに、あれからずっと考えてくれていたのかな。