姉の婚約者はワルイ男
「今なんて言いました?」
わたしは目の前の男の言葉が信じられなくて、思わず聞き返していた。
「だから、彼氏といつ別れるのかって聞いた」
しれっとした表情でわたしを見下ろすのは、180を優に超す意地悪そうな笑みを浮かべる男。
きちんとセットもしていないだろう頭なのに、自然体でとてもなじんでいるようにも見えるこの男は、姉の婚約者だ。
「どうして松葉さんにそんなことを聞かれないといけないんですか?」
だってあなたは姉の婚約者。
わたしと彼氏のことなんて関係ないのに。
「気になったから聞いた。ただそれだけ」