姉の婚約者はワルイ男
第4章 一つの区切り
普段は仕事のときしか身に着けない襟付きのブラウスを着て、わたしは鏡の前で気合を入れた。
髪も念入りに整えて、これからある人に会いに行く。
「あれ?今日って仕事だったっけ?」
洗面所でしばらく鏡とにらめっこしていると、鏡の隅から姉が顔を出した。
「ううん、今日は休み」
「珍しいね、そんなきちんとした格好で」
「まあね。これから大事な話をしに行くから、自分なりの正装をと思って」
「なるほど。今日は勝負の日なのね」
鏡越しに目が合うと、姉もおしゃれな格好をしていて、外出使用になっていた。
お姉ちゃんもこれからどこか行くのか。
「お姉ちゃん、これからデート?」
「そうなの。今度彼の両親と会うことになってね。そのときに着ていく服を一緒に選んでもらおうと思って」