姉の婚約者はワルイ男
「今日はその内藤さんの50歳の誕生日で、その誕生日パーティーに招待されたんだ。松葉家がね」
「そういう経緯だったんですね。なるほど」
「両親がね、ちょうど出張で海外にいるものだから参加できなくて。それで俺だけで出席することになったんだけど。同伴者もOKってなってたから、これはキミをぜひとも誘わないとと思って」
お姉ちゃんの次に、でしょう?
わざわざこんな言い訳がましく言わなくても、事情はしっかり把握しているのに。
パーティー会場はワンフロアを使った大きなものだった。
テレビで見たことがあるような音楽家もいれば、明らかに大手企業のお偉いさんと思われる人物も多数参加していた。
こんなパーティーにわたしが参加してもいいのだろうかと、思わずしり込みしてしまう。
「立食パーティーで自由に好きなもの取って食べていいって。柚葉ちゃん、まずは何か飲む?」
「あ、はい」
「何にする?」
「ノンアルの白ワインにします」
「別に運転するわけじゃないから、普通に飲んでいいよ」
「いいんです、ノンアルで」
「はいはい」