姉の婚約者はワルイ男
「流星さん、この子が妹の柚葉」
「柚葉ちゃん、はじめまして」
「……は、はじめまして」
やっぱりこの人が本当の姉の婚約者みたい。
だったら、松葉さんは……?
お姉ちゃんはあの男と付き合ってるんじゃなかったの?
「お姉ちゃん、この方がお姉ちゃんの言ってた……」
「そうよ。婚約者を連れてくるって言ってあったでしょ?同じオーケストラに所属している指揮者の槇原流星さん」
「……松葉さんじゃなかったんだ」
そうか、だから今まで松葉さんの話がかみ合わなかったんだ。
姉が言っていることと矛盾していることが今までにあったけど。
まさか、わたしが勘違いしていただけだったなんて。
「松葉さん?ゆず、もしかして……」
呆れた表情を浮かべた姉は、もしかしたらわたしの誤解に気づいたのかもしれない。
だって、そのあと「松葉さんも呼んでいい?誤解解かないといけないと思うから」と、姉が両親に話しているのが聞こえたから。