姉の婚約者はワルイ男
そのあと、1時間もしないうちに松葉さんがやって来て、芝池家と姉の婚約者の槇原さん、それからなぜか松葉さんも交えて、みんなで食事会が始まったのだった。
「ごめんなさいね、松葉さん。突然呼び出したりして」
「それはいいんですけど。……くくっ、それにしても柚葉ちゃんが、そんな誤解をしてたなんて、ね」
笑いながらわたしを見るこの男。
お姉ちゃん、事前にわたしがとんでもない誤解をしていたこと伝えていたな。
しかも松葉さんが来るまで、家族にも散々からかわれて、今に至る。
さらには初対面の槇原さんまで楽しそうに笑うものだから、恥ずかしくて仕方がなかった。
「この際なので、流星さんにもきちんと話しておきますね。実は、わたしと松葉さん、婚約者にさせられようとしてたんです。お互いの祖父同士が仲が良くて」
「ちょっと絃葉、人聞きが悪いな。それじゃあ、じいちゃんたちが悪者みたいじゃないか」