姉の婚約者はワルイ男
「そうなんですよ。この前頼んでパーティーに同伴してもらったんです」
「なに、柚葉。あんた、絢斗くんと付き合ってたの?」
「付き合ってない!」
「あ、そうよね。付き合ってたら、あんなおかしな誤解しないわよね」
またしても誤解のことを引っ張り出され、笑いがおきる。
この話題はしばらく持ち出されて、笑われそうだなと思った。
「でも、ゆずと松葉さんってお似合いだと思うけど」
ふと姉がこんな爆弾を投下するものだから、わたしは慌てて立ち上がった。
「お姉ちゃん!なんてこと言うの!」
「いいじゃない。ゆず、この前彼と別れたんだから」
すると、次々に「え?」と目を丸くさせ、わたしに注目してきた。
そう言えば、歩くんと別れたこと、姉にしかまだ言ってなかったっけ。
「なに、柚葉。彼氏と別れたの」
「うん、少し前に、ね」
そして、なぜか今度はこの男がじとっとわたしを睨みつけている。
何か怒らせるようなこと、したかな。
「なんですか、松葉さん」
「俺言ったよね、前に。彼氏と別れたら教えてって」
「それで怒ってるんですか」