姉の婚約者はワルイ男
七海には今回の件で、二重で驚かせてしまったようだ。
彼女に会ったのは2年ぶりくらいで、正直な話歩くんとのことを話すきっかけがなかったのだ。
ときどき連絡は取りあっていたけれど、お互い社会人になってからは一気に会う機会が減って、言うタイミングがこんなに遅くなってしまった。
「しかも別れてからもうすぐ1年だって?」
「うん、実はね」
「今いい人はいないの?」
「別に……」
ふとあの男の顔が浮かんだけれど、すべてを友人に話す性格ではないわたしは口を閉ざした。
「ほんとー?まあ、いいけどね。無理に話さなくても」
こういうところが楽で、昔から七海とはずっと付き合っている。
「そういう七海ずっと付き合ってる人がいるもんね」
「実は私もこの前別れたばかりなんだよね」
「え、そうなの?2年くらい付き合ってるって言ってなかったっけ?」
「うん、そうなんだけどね。あまりに結婚の話されるから。こっちは付き合うときにするつもりはないって言ってあったのに」