姉の婚約者はワルイ男
「ちょっ、なに、柚葉ちゃん、急に」
珍しく、松葉さんが慌てている。
「だって、好きなことしていいって言ったのは松葉さんですよ」
でも、こっちも恥ずかしくて顔はあわせられない。
すると、彼からため息が聞こえてきて、大きな手が彼の顔を覆った。
「ほんと、柚葉ちゃんって……ときどき斜め上の行動とるよね」
「じゃあ、やめますね」
「やめなくていい!やめないで!このままでお願いします」
今日初めて知った。
こういうとき、松葉さんはこういう態度をとるんだ。
こうして少しずつ知っていきたい、彼のことを。
「松葉さんって照れると敬語になるんですね」
「冷静に言わないでください」
「一つ勉強になりました」
「柚葉ちゃん……」