姉の婚約者はワルイ男
少しからかうように笑ってみる。
これはいつもの仕返しだ。
松葉さんはいつもこんな気持ちだったのかな。
わたしをからかうとき。
少し癖になるかも。
またやろう。
そう心に決めたとき、松葉さんがわたしの顔を持ち上げて、顔を隠すようにキスをしてきた。
でも、それは今までみたいに触れるだけでは終わらない。
ちゅっと音を立てて吸われたり、片手で耳をなでられて、思わず体がぴくりとはねてしまった。
しまいには、感じたことがない感触が口の中に入ってきて、わたしの思考をおかしくさせる。
まるでわたしのことを全身で好きだと言ってくれているような気がして、脳までしびれさせてくる。
唇が離れると、満足げに笑う彼がいて、いとおしそうにわたしを見つめる瞳が、胸を苦しくさせた。