姉の婚約者はワルイ男



その中の松葉さんもなんだか楽しそうで、思わずアルバムを閉じてしまった。


「あれ?柚葉ちゃん、もう見終わったの?」

「はい、ありがとうございました」

「それじゃー、柚葉ちゃん、はい、これ」


どうやら松葉さんは部屋に何かを取りに行っていたようで、それをわたしに差し出した。

彼が手にしていたのは、細長い箱のようなもので、なんとなく中身が想像できるものだった。


「付き合った記念に何かあげたいと思ってね」

「いいんですか」

「いーもなにも、柚葉ちゃんに似合うだろうなっていうのを偶然見つけたから買っただけだよ」

「ありがとうございます」

「毎日つけて、俺のこと思い出してね」

「それが魂胆だったんですね、松葉さん」


はじめてもらった彼氏からのプレゼントは、きれいな土星のネックレスだった。

これだったらいつでもつけられそうだ。

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