花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「好きな女をみすみす危険な目にあわせるわけがない」


普段とは違う乱暴な物言いが、胸の奥に優しく染み込んでいく。

さらに上層部の件はきちんと対応すると約束してくれた。


「改めて、俺たちの子どもを身ごもってくれてありがとう……本当に嬉しい。これからもずっとそばにいてほしい」


「私で、いいの?」


「逢花じゃなきゃダメだ」


甘い声と眼差しに、押さえつけていた想いが今度こそはじけて、涙が再び溢れだす。


「もう一度、今日から、俺と本当の夫婦になってくれませんか?」


優しい問いかけにうなずくと、顎を長い指で掬い上げられた。

近づいてくる彼の顔にゆっくりと目を閉じる。

触れあった口づけはこれまでの中で一番甘くて嬉しくて、胸の奥がくすぐったかった。
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