花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
先輩と棚を施錠していたとき、内線電話が鳴り響き受話器を取る。
「はい、営業企画部の一路です。お疲れ様です」
電話は受付からで、私を訪ねて中川という女性が来社しているという。
聞き覚えのない名前と社名に女性の特徴を尋ねると、黒のパンツスーツに眼鏡、ひとまとめにした髪と大きめのバッグを手にしていると教えられた。
ますます思い出せずに困惑していると、私が対応しようかと先輩に言われた。
「平気です、少しお話を伺ってすぐに中ホールに向かいますから」
「でも、知らない人なんでしょう? ひとりで対応して無謀な要求をされたり、言いがかりをつけられたら大変よ?」
私の体調を気にして先輩がさらに言い募る。
「受付付近で話しますから大丈夫ですよ。もう六時半になりますし、行ってください」
すでにフロアには私たちしかいない。
渋る先輩を説き伏せて、タブレットを手に階下に向かった。
「えっ、帰られた?」
「はい、伝言を残されて」
困ったように眉根を寄せる受付の女性から詳しく状況を聞く。
どうやら訪問客は一旦、エントランス脇の簡易応接スペースで待っていたそうだが、気がつくといなくなっており、テーブルに急用ができたため後日出直すと書かれたメモが置かれていたそうだ。
「はい、営業企画部の一路です。お疲れ様です」
電話は受付からで、私を訪ねて中川という女性が来社しているという。
聞き覚えのない名前と社名に女性の特徴を尋ねると、黒のパンツスーツに眼鏡、ひとまとめにした髪と大きめのバッグを手にしていると教えられた。
ますます思い出せずに困惑していると、私が対応しようかと先輩に言われた。
「平気です、少しお話を伺ってすぐに中ホールに向かいますから」
「でも、知らない人なんでしょう? ひとりで対応して無謀な要求をされたり、言いがかりをつけられたら大変よ?」
私の体調を気にして先輩がさらに言い募る。
「受付付近で話しますから大丈夫ですよ。もう六時半になりますし、行ってください」
すでにフロアには私たちしかいない。
渋る先輩を説き伏せて、タブレットを手に階下に向かった。
「えっ、帰られた?」
「はい、伝言を残されて」
困ったように眉根を寄せる受付の女性から詳しく状況を聞く。
どうやら訪問客は一旦、エントランス脇の簡易応接スペースで待っていたそうだが、気がつくといなくなっており、テーブルに急用ができたため後日出直すと書かれたメモが置かれていたそうだ。