花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「……逢花に説明していない」
「なにを?」
親友の怪訝な声に、のろのろと顔を上げる。
「全部だ。美津との一連の行動も契約結婚の真相も結婚式を延期にしている理由も」
「はあ? なにやってるんだよ……」
滅多に表情を崩さず、感情を露にしない有能な秘書は一瞬、天を仰いだ。
「きちんと理解を得ろと何回も言ったはずだ。詳細を話せなくともせめて、加賀谷さんとふたりで過ごす理由くらいは伝えろと忠告したはずだぞ」
「高野とふたりきりで会っていた件で関係が悪くなったんだ。その後、この計画と仕事が立て込んで話し合えずにいた」
情けない言い訳を、誠は渋面を浮かべて聞いていた。
「あのな、奥様は相当誤解して傷つかれただろうし、最悪お前との離婚も考えていたかもだぞ。なんで奥様が絡むとそんなにポンコツになるんだ!」
「情けないのはわかっている。大切にしたい、笑っていてほしいだけなのにまったくうまくいかない」
「依玖、今までちゃんと奥様に向き合ってきたのか? 俺に話し続けてきた奥様に対する馬鹿げた独占欲や溢れんばかりの想い全部を伝えていたのか?」
誠の真っすぐな問いかけに、口ごもりつつ返答した。
「なにを?」
親友の怪訝な声に、のろのろと顔を上げる。
「全部だ。美津との一連の行動も契約結婚の真相も結婚式を延期にしている理由も」
「はあ? なにやってるんだよ……」
滅多に表情を崩さず、感情を露にしない有能な秘書は一瞬、天を仰いだ。
「きちんと理解を得ろと何回も言ったはずだ。詳細を話せなくともせめて、加賀谷さんとふたりで過ごす理由くらいは伝えろと忠告したはずだぞ」
「高野とふたりきりで会っていた件で関係が悪くなったんだ。その後、この計画と仕事が立て込んで話し合えずにいた」
情けない言い訳を、誠は渋面を浮かべて聞いていた。
「あのな、奥様は相当誤解して傷つかれただろうし、最悪お前との離婚も考えていたかもだぞ。なんで奥様が絡むとそんなにポンコツになるんだ!」
「情けないのはわかっている。大切にしたい、笑っていてほしいだけなのにまったくうまくいかない」
「依玖、今までちゃんと奥様に向き合ってきたのか? 俺に話し続けてきた奥様に対する馬鹿げた独占欲や溢れんばかりの想い全部を伝えていたのか?」
誠の真っすぐな問いかけに、口ごもりつつ返答した。