花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「疲れていないか? 話すのは休んでからにしたほうが……」
私をリビングのソファに座らせた依玖さんの言葉に、首を横に振る。
「大丈夫。依玖さんは?」
「俺はいい。むしろ話さないと気になって眠れない」
長めの前髪をかき上げながら、自嘲気味につぶやく。
私たちは荷物の片付けなどは後回しにして、とりあえず着替えと手洗いだけを済ませた。
再びリビングに戻り、依玖さんが温かなほうじ茶を淹れ、カップを私が座るソファの前にあるセンターテーブルに置いてくれた。
私がお茶をひとくち口に含んだのを見つめて、彼が自身のカップを手に私の右隣に腰を下ろした。
「長い話になるが聞いてほしい」
カップをゆっくりとセンターテーブルに置いて告げる声に、首を縦に振った。
「俺はあの日、花束を受け取ってくれた逢花に、初めての恋をした」
思ってもみなかった告白に戸惑い、目を見開く。
「でも、恋愛は不要だと……初めての恋って、加賀谷さんは……?」
「美津とは互いの縁談除けのために協力していただけで、元々恋愛感情はない。噓だと思うなら本人に確かめてほしい」
学生時代からの気心のしれた友人なので互いに遠慮のない態度で接しているらしい。
ちなみに加賀谷さんの本命の相手は現在の婚約者だという。
私をリビングのソファに座らせた依玖さんの言葉に、首を横に振る。
「大丈夫。依玖さんは?」
「俺はいい。むしろ話さないと気になって眠れない」
長めの前髪をかき上げながら、自嘲気味につぶやく。
私たちは荷物の片付けなどは後回しにして、とりあえず着替えと手洗いだけを済ませた。
再びリビングに戻り、依玖さんが温かなほうじ茶を淹れ、カップを私が座るソファの前にあるセンターテーブルに置いてくれた。
私がお茶をひとくち口に含んだのを見つめて、彼が自身のカップを手に私の右隣に腰を下ろした。
「長い話になるが聞いてほしい」
カップをゆっくりとセンターテーブルに置いて告げる声に、首を縦に振った。
「俺はあの日、花束を受け取ってくれた逢花に、初めての恋をした」
思ってもみなかった告白に戸惑い、目を見開く。
「でも、恋愛は不要だと……初めての恋って、加賀谷さんは……?」
「美津とは互いの縁談除けのために協力していただけで、元々恋愛感情はない。噓だと思うなら本人に確かめてほしい」
学生時代からの気心のしれた友人なので互いに遠慮のない態度で接しているらしい。
ちなみに加賀谷さんの本命の相手は現在の婚約者だという。