花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「悪い、もう少し早く帰りたかったんだが会議が長引いた。疲れただろ? 風呂に依織を入れるから少し休んで」


「ううん、大丈夫よ。依玖さんのほうこそ忙しかったでしょう? 今日は美津さんが来社されていたのよね?」


「ああ、今度お前に会って色々聞きたいから連絡すると話していた」


「私もお話ししたいから嬉しい、体の調子はどうかしら?」


笠戸さんの一件以来、加賀谷さんと私はとても仲良くなった。

今では下の名前で呼び合うようになり、ふたりで話をしたりお互いの自宅を行き来する機会も多い。

美津さんは自身の意見をはっきり口にする一方で、とても面倒見がよく話しやすい人だと親交を深めていくうちに知るようになった。

我が家によく遊びに来てくれる凛とも親しくなり、依織をふたりでとても可愛がってくれている。

現在、凛と美津さんは妊娠中でさらに私たちは親睦を深めている。


「つわりがつらいと言っていたが……顔色はよかったぞ。旦那に送迎してもらって嬉しそうにしていたし、早く帰宅してくれるようになって安心していると言っていた」


「よかったわ」


臨月が近づくと、依玖さんは自身の仕事をどんどん整理し始めた。

義父に頼み、育児休暇を取得したいと告げ、早く帰宅してくれるようになった。

元々男女の育児休暇の制度はあったがさらに拡充をはかり、パートナーの妊娠中は、より仕事の負担が減るように改革したいと意気込んでいた。

ほかにも社内保育所の開設を計画し、現在調整をはかっている。
< 185 / 190 >

この作品をシェア

pagetop