花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「今もそうだが、自分が父親になるとうちの会社の未熟な部分がよくわかる。今まで手付かずだったのが恥ずかしく申し訳ないな」


反省の言葉を口にして、さらに変革を進めようとする姿に、頼もしさと嬉しさで胸がいっぱいになった。

依玖さんは家事、育児に積極的に参加し、自分のほうが激務で多忙にもかかわらず私をいつも労ってくれる。

彼の思いやり深さと優しさにはいつも感謝の気持ちでいっぱいだ。

依玖さんの綺麗な二重の目を受け継いだ依織はパパが大好きで、一緒に入浴するときはいつもご機嫌だ。

少し前は、こんな毎日が過ごせるとは思ってもみなかった。

体と心を病んだ笠戸さんは、今もまだ完治には至っていない。

けれど少しずつ話を聞けるようになっているようで警察の捜査がほんの少し進展したとだけ聞いている。

私は彼女の悲しさや憤りをほんの少しだがわかる気がする。

私は依玖さんに出会い、愛し愛されて、救われたけれど彼女にはきっと心の内をさらけ出して信用できる人がいなかったのではないかと思う。

犯した罪は許せるものではないが、どうか反省して人生をやり直してほしいと願う。

甘いと言われるかもしれないが、今はただそう思っている。
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