花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
『――で、情熱的な一晩の関係は終了ってわけ?』
「凛、言い方」
フロントで花束を受け取って早々に自宅に戻った途端、緊張や疲労が押し寄せ、なんとか着替えだけを済ませて眠ってしまった。
エレベーターの中で悩み、花束はいただくべきではかないと考え、足早にホテルを去ろうとした。
けれど、昨夜葵さんに声をかけた男性従業員とエントランス近くで偶然会ってしまった。
花束をお忘れですと満面の笑みで言われ、断りきれなかった。
変に押し問答をして葵さんに連絡されたら元も子もない。
昼すぎに、鳴り響くスマートフォンの着信音で目覚めると、親友から何件もの不在着信とメッセージが届いていた。
慌ててかけ直すと、ひとしきり心配され、あれこれ尋ねられた。
どうやらほかの同期から、ブーケトスもどきの件を聞いたらしい。
『まったくあの女、いい度胸してるわね!』
烈火のごとく怒る凛に、昨夜の葵さんとの一夜について説明した。
そのせいで連絡ができなかったと謝罪も添えて。
『なんで黙って帰って来たのよ?』
「だって勢いと雰囲気に流されたのは否定できないし、一夜限りの魔法というか……」
昨夜の感情をうまく言い表せられないのが、もどかしい。
「朝になって現実を思い知ったの。本来の彼と私は生きる場所が違って、出会うはずがなかったんだって」
『考えすぎよ。求めあったのは確かなんだから堂々としていればいいじゃない。連絡先は聞いたの?』
「知らない。尋ねられなかったし」
『なんでよ、せっかくハイスペックイケメンと出会ったのに! 高野に一泡吹かせるチャンスだったのに、もったいなさすぎる!』
「一夜限りって言ったでしょ。本気で相手にされるわけないじゃない」
「凛、言い方」
フロントで花束を受け取って早々に自宅に戻った途端、緊張や疲労が押し寄せ、なんとか着替えだけを済ませて眠ってしまった。
エレベーターの中で悩み、花束はいただくべきではかないと考え、足早にホテルを去ろうとした。
けれど、昨夜葵さんに声をかけた男性従業員とエントランス近くで偶然会ってしまった。
花束をお忘れですと満面の笑みで言われ、断りきれなかった。
変に押し問答をして葵さんに連絡されたら元も子もない。
昼すぎに、鳴り響くスマートフォンの着信音で目覚めると、親友から何件もの不在着信とメッセージが届いていた。
慌ててかけ直すと、ひとしきり心配され、あれこれ尋ねられた。
どうやらほかの同期から、ブーケトスもどきの件を聞いたらしい。
『まったくあの女、いい度胸してるわね!』
烈火のごとく怒る凛に、昨夜の葵さんとの一夜について説明した。
そのせいで連絡ができなかったと謝罪も添えて。
『なんで黙って帰って来たのよ?』
「だって勢いと雰囲気に流されたのは否定できないし、一夜限りの魔法というか……」
昨夜の感情をうまく言い表せられないのが、もどかしい。
「朝になって現実を思い知ったの。本来の彼と私は生きる場所が違って、出会うはずがなかったんだって」
『考えすぎよ。求めあったのは確かなんだから堂々としていればいいじゃない。連絡先は聞いたの?』
「知らない。尋ねられなかったし」
『なんでよ、せっかくハイスペックイケメンと出会ったのに! 高野に一泡吹かせるチャンスだったのに、もったいなさすぎる!』
「一夜限りって言ったでしょ。本気で相手にされるわけないじゃない」