花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
4.ただ抱きしめたかった SIDE依玖
「社長が走るなんて、驚きました」
車を走らせながら、なぜか楽しそうな口調で秘書が話しかけてくる。
「まさか疑いのある女性とあれほど親しげにされているとは」
「……なにが言いたい?」
「最近、ずっとイライラしていたのは一路さんが原因かと」
勘の鋭い秘書に小さく嘆息する。
「急に飛び出して、後を追うのも、スケジュール調整も大変だったんですが?」
「……悪かった」
「一路さんは、加賀谷家の婚約パーティーの夜に出会った方ですね」
確信をもった秘書の発言は聞き流す。
そして、先ほど店員から密かに聞いた、結婚式の詳細について考えを巡らせる。
「沈黙は肯定とみなすぞ」
秘書の挑発的な言動にフッと口角を上げる。
従弟の立川誠は俺の秘書でもあり、大切な友人でもある。
逢花に出会った日のいきさつは翌朝出勤した際にある程度話していた。
と、いうより必要以上に根ほり葉ほり聞き出された。
どうやら逢花が黙って姿を消して、本来の目的を見失うほど俺は焦っていたようだ。
普段とは違う俺の姿に、誠はただならぬ気配を感じたそうだ。
車を走らせながら、なぜか楽しそうな口調で秘書が話しかけてくる。
「まさか疑いのある女性とあれほど親しげにされているとは」
「……なにが言いたい?」
「最近、ずっとイライラしていたのは一路さんが原因かと」
勘の鋭い秘書に小さく嘆息する。
「急に飛び出して、後を追うのも、スケジュール調整も大変だったんですが?」
「……悪かった」
「一路さんは、加賀谷家の婚約パーティーの夜に出会った方ですね」
確信をもった秘書の発言は聞き流す。
そして、先ほど店員から密かに聞いた、結婚式の詳細について考えを巡らせる。
「沈黙は肯定とみなすぞ」
秘書の挑発的な言動にフッと口角を上げる。
従弟の立川誠は俺の秘書でもあり、大切な友人でもある。
逢花に出会った日のいきさつは翌朝出勤した際にある程度話していた。
と、いうより必要以上に根ほり葉ほり聞き出された。
どうやら逢花が黙って姿を消して、本来の目的を見失うほど俺は焦っていたようだ。
普段とは違う俺の姿に、誠はただならぬ気配を感じたそうだ。