花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
今夜、通りで見かけたとき、一瞬幻かと思った。
けれど瞬きを繰り返しても消えない姿に現実だと認識し、後先構わずに飛び出した。
驚き戸惑う逢花の様子から、もう二度と会うつもりはなかったのだろうと気づいた。
答えが出ていないのに逃がしてやる気はない。
肩書で呼ばれると、なぜ不快に感じる?
近くにいると、どうして触れたくなる?
俺に“恋”は必要ない。
形で結果を示せないものに心を傾けたり、明け渡すつもりは毛頭ない。
立場上、結婚は避けられないが甘い新婚生活なんて描いてもいなかった。
だが今、逢花と毎日を過ごしたらどうなるのかと想像する自分がいる。
しかも決して不快ではなく楽しそうだなどと思ってしまう。
美しく装った先刻の彼女をずっと抱きしめていたいと本気で願ったくらいだ。
なあ、逢花。
本当のお前を教えてくれないか?
なによりも俺が今、抱くこの感情の名前はなんだ?
……これが、初恋なのか?
けれど瞬きを繰り返しても消えない姿に現実だと認識し、後先構わずに飛び出した。
驚き戸惑う逢花の様子から、もう二度と会うつもりはなかったのだろうと気づいた。
答えが出ていないのに逃がしてやる気はない。
肩書で呼ばれると、なぜ不快に感じる?
近くにいると、どうして触れたくなる?
俺に“恋”は必要ない。
形で結果を示せないものに心を傾けたり、明け渡すつもりは毛頭ない。
立場上、結婚は避けられないが甘い新婚生活なんて描いてもいなかった。
だが今、逢花と毎日を過ごしたらどうなるのかと想像する自分がいる。
しかも決して不快ではなく楽しそうだなどと思ってしまう。
美しく装った先刻の彼女をずっと抱きしめていたいと本気で願ったくらいだ。
なあ、逢花。
本当のお前を教えてくれないか?
なによりも俺が今、抱くこの感情の名前はなんだ?
……これが、初恋なのか?