花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「わかっているわ。でも今日は戦いなんだから弱音は禁物よ!」
美しい装いに似つかわしくない物言いに頬が緩む。
「あの性悪女の幸せ自慢会に出席してあげるんだもの。でも同時に逢花の再スタートの日でもあるの。それに恋はする、しないを自分で選べないのよ」
フフと声を漏らして、完璧なアイメイクを施した目を細める。
「気になる時点で、恋をしているの」
親友のひと言は、深く私の胸に突き刺さった。
凛の言葉を反芻していたせいか、挙式、披露宴で予想以上に動揺せずに済んでいた。
隣の席に座る凛は終始作り笑顔を貼り付け、事あるごとに悪態を吐いていたけれど。
高砂で招待客から祝福を受ける久喜を見て、あんなに心を痛めていた日々が嘘のように淡々と別れを実感する私は、薄情なのだろうか。
披露宴が終了に近づいた頃、凛がそっと私に耳打ちした。
「最後のお見送り、また皆の前で嫌味を言われるかもしれないし、先に抜けていたら? 荷物は私が持っていくし、急な電話がかかってきたとか適当に誤魔化して挨拶しておくから」
送別会の一件を心配した凛に促され、そっと会場を抜け出した。
さらに凛にこのフロアではなく、別のフロアへ向かうようアドバイスを受けた。
どこまでも優しい親友には感謝しかない。
美しい装いに似つかわしくない物言いに頬が緩む。
「あの性悪女の幸せ自慢会に出席してあげるんだもの。でも同時に逢花の再スタートの日でもあるの。それに恋はする、しないを自分で選べないのよ」
フフと声を漏らして、完璧なアイメイクを施した目を細める。
「気になる時点で、恋をしているの」
親友のひと言は、深く私の胸に突き刺さった。
凛の言葉を反芻していたせいか、挙式、披露宴で予想以上に動揺せずに済んでいた。
隣の席に座る凛は終始作り笑顔を貼り付け、事あるごとに悪態を吐いていたけれど。
高砂で招待客から祝福を受ける久喜を見て、あんなに心を痛めていた日々が嘘のように淡々と別れを実感する私は、薄情なのだろうか。
披露宴が終了に近づいた頃、凛がそっと私に耳打ちした。
「最後のお見送り、また皆の前で嫌味を言われるかもしれないし、先に抜けていたら? 荷物は私が持っていくし、急な電話がかかってきたとか適当に誤魔化して挨拶しておくから」
送別会の一件を心配した凛に促され、そっと会場を抜け出した。
さらに凛にこのフロアではなく、別のフロアへ向かうようアドバイスを受けた。
どこまでも優しい親友には感謝しかない。