花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
私たちは二次会を欠席するので、同僚たちに帰る旨を伝えていると新郎新婦が会場の外に出てきた。
視線を逸らすタイミングが悪かったのか、笠戸さんと目が合った。
すると、口角を上げた彼女が友人らしき女性とともにウエディングドレスの裾を揺らしながら近づいてきた。
「先輩、ありがとうございました。これからも夫をよろしくお願いします」
「……今日はおめでとう、ございます」
勝ち誇ったように顎を上げて大げさな身振りで話す後輩に、祝いを伝えるだけで精一杯だった。
凛ならもっと上手に立ち回れるだろうが、私は対応に困るばかりだ。
「このホテル、なかなか挙式予約が取れないんですけど、久喜さんが頑張ってくれたんです。先輩もいつか結婚されるとき、よかったらご相談くださいね」
好きな人の想い人に会って失恋した直後に、嫌味まで聞かなきゃいけないなんて、今日はとことんついていない。
気持ちに余裕もないし、おめでとうだって本当は言いたくない。
狭量で大人げないと理解していても、久喜とはもう無関係だと突き放したい。
「ねえ、せっかくだし記念にふたりの写真を撮ってSNSにアップしたら?」
「いいわね。先輩、撮りましょう!」
友人の余計な提案に、上機嫌な笠戸さんが私の隣に移動しようとドレスの裾を持ち上げ、友人の女性はスマートフォンを取り出す。
ツーショットなんて絶対に嫌だ。
視線を逸らすタイミングが悪かったのか、笠戸さんと目が合った。
すると、口角を上げた彼女が友人らしき女性とともにウエディングドレスの裾を揺らしながら近づいてきた。
「先輩、ありがとうございました。これからも夫をよろしくお願いします」
「……今日はおめでとう、ございます」
勝ち誇ったように顎を上げて大げさな身振りで話す後輩に、祝いを伝えるだけで精一杯だった。
凛ならもっと上手に立ち回れるだろうが、私は対応に困るばかりだ。
「このホテル、なかなか挙式予約が取れないんですけど、久喜さんが頑張ってくれたんです。先輩もいつか結婚されるとき、よかったらご相談くださいね」
好きな人の想い人に会って失恋した直後に、嫌味まで聞かなきゃいけないなんて、今日はとことんついていない。
気持ちに余裕もないし、おめでとうだって本当は言いたくない。
狭量で大人げないと理解していても、久喜とはもう無関係だと突き放したい。
「ねえ、せっかくだし記念にふたりの写真を撮ってSNSにアップしたら?」
「いいわね。先輩、撮りましょう!」
友人の余計な提案に、上機嫌な笠戸さんが私の隣に移動しようとドレスの裾を持ち上げ、友人の女性はスマートフォンを取り出す。
ツーショットなんて絶対に嫌だ。