花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「ねえっ、今の聞いた? 一路さんの恋人って葵社長ですって!」
「でも高野さんと付き合ってたって噂があったよね? デマだったの?」
「こんなところまで迎えに来るなんて……もしかして結婚間近?」
「大変、大ニュース! SNS確認しなきゃ」
周囲の同僚や通り掛かった人たちの悲鳴にも似た歓声と交じるシャッター音に焦る。
近くにいた同僚に訂正しようとするより先に、葵さんがにこやかに口を開いた。
「皆様、お騒がせして申し訳ございません。私たちのことは温かく見守っていただけましたら幸いです。本日はおめでとうございます。予定がありますので、失礼いたします」
唖然としているふたりを置き去りにして、葵さんが私を促す。
戸惑いと驚きをを隠せない私の手を引き、さらに腕にかけていた紙袋を持ってくれた。
「葵さん、友だちをここで待っているので……」
離れられないと口にすると、ほんの少し屈みこんだ彼が耳元でささやく。
「ずいぶん注目を浴びているから、一旦離れよう。ご友人にはロビーに来てもらえるように伝えてくれないか?」
確かに四方八方から突き刺さるような視線を感じる。
そのほとんどが女性たちからで、主に葵さんに向けられている。
うなずき、スマートフォンをバッグから取り出しメッセージを送った。
「でも高野さんと付き合ってたって噂があったよね? デマだったの?」
「こんなところまで迎えに来るなんて……もしかして結婚間近?」
「大変、大ニュース! SNS確認しなきゃ」
周囲の同僚や通り掛かった人たちの悲鳴にも似た歓声と交じるシャッター音に焦る。
近くにいた同僚に訂正しようとするより先に、葵さんがにこやかに口を開いた。
「皆様、お騒がせして申し訳ございません。私たちのことは温かく見守っていただけましたら幸いです。本日はおめでとうございます。予定がありますので、失礼いたします」
唖然としているふたりを置き去りにして、葵さんが私を促す。
戸惑いと驚きをを隠せない私の手を引き、さらに腕にかけていた紙袋を持ってくれた。
「葵さん、友だちをここで待っているので……」
離れられないと口にすると、ほんの少し屈みこんだ彼が耳元でささやく。
「ずいぶん注目を浴びているから、一旦離れよう。ご友人にはロビーに来てもらえるように伝えてくれないか?」
確かに四方八方から突き刺さるような視線を感じる。
そのほとんどが女性たちからで、主に葵さんに向けられている。
うなずき、スマートフォンをバッグから取り出しメッセージを送った。