花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「迷惑をかけて、申し訳ない」
「いいえ……私のほうこそありがとうございました」
おかげで、笠戸さんとの写真も嫌味も避けられた。
私が告げた礼の意味を問わず、彼は片眉を上げる。
「彼女があの晩逢花を泣かせた後輩だろ」
言い当てられて、再び驚く。
瞬きを繰り返すと、葵さんは眦を下げる。
「元恋人の結婚式だろうなとドレスを見つめる姿で予想していたから」
「どうして……私、なにも話していないし尋ねていませんよね?」
「考えが表情に全部出ている」
さらにドレス購入時の店員に詳細を聞いたとあっさり暴露されて、思わず繋がれていない手で頬を押さえる。
「巻き込んですみません……笠戸さんや同僚たちに恋人ではないときちんと伝えます」
「いや、必要ない」
「え?」
聞き間違いかと思って、彼を見つめるといたずらっ子のような表情を浮かべる。
「逢花が大切なのは事実だから」
さらりと言われて、一気に頬が熱を持った。
落ち着いて、ただのリップサービス、深い意味はないわ。
勘違いしちゃダメ。
「葵さんは、どうして今日ここに? お仕事ですか?」
話題を変えるべく質問する。
どうか加賀谷さんの名前は出さないでと願い、本心を言わない私はとてもズルい。
しかも会話を聞いていた事実も告げずに。
「いいえ……私のほうこそありがとうございました」
おかげで、笠戸さんとの写真も嫌味も避けられた。
私が告げた礼の意味を問わず、彼は片眉を上げる。
「彼女があの晩逢花を泣かせた後輩だろ」
言い当てられて、再び驚く。
瞬きを繰り返すと、葵さんは眦を下げる。
「元恋人の結婚式だろうなとドレスを見つめる姿で予想していたから」
「どうして……私、なにも話していないし尋ねていませんよね?」
「考えが表情に全部出ている」
さらにドレス購入時の店員に詳細を聞いたとあっさり暴露されて、思わず繋がれていない手で頬を押さえる。
「巻き込んですみません……笠戸さんや同僚たちに恋人ではないときちんと伝えます」
「いや、必要ない」
「え?」
聞き間違いかと思って、彼を見つめるといたずらっ子のような表情を浮かべる。
「逢花が大切なのは事実だから」
さらりと言われて、一気に頬が熱を持った。
落ち着いて、ただのリップサービス、深い意味はないわ。
勘違いしちゃダメ。
「葵さんは、どうして今日ここに? お仕事ですか?」
話題を変えるべく質問する。
どうか加賀谷さんの名前は出さないでと願い、本心を言わない私はとてもズルい。
しかも会話を聞いていた事実も告げずに。