花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「聞かせて」


そう言って、外された指が絡む。

じっくりと高められ、記憶に残る感覚に目の前が真っ白に染まっていく。

体の奥深くに入ってくる彼が愛しくて切なくて、声にならない声が漏れる。


「本当に可愛いな……」


たくましい背中にためらいがちに腕を回す。

汗ばんだ肌の感触と今では慣れた香りが心を揺さぶる。


「ずっと俺だけを見ていてほしい」


半身を起こし、私の膝裏を持ち上げてさらに深く繋がる。


恋を許さないくせに、なぜそんな言い方をするの?


尋ねたいのに、彼の魅力に支配された体は思うように動かせない。

ひと際激しく腰を揺さぶられ、限界に近かった私の意識は完全に途切れた。


「俺の、逢花」


瞼が閉じる瞬間、切なげに眉根を寄せる彼を見た気がした。
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