花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
「おはよう、依玖。初めまして、逢花さん」
「時間がないから後日挨拶に行くと数回説明したはずですが、父さん?」
フロントの前で佇む長身の男性に驚きもせず反応した依玖さんが、眉根を寄せる。
「やっと結婚を決めた息子の妻となる女性に会いたいのは当然だろう。母さんも来たがっていたんだが準備が間に合いそうになくてな」
「逢花、父だ」
上機嫌の男性の言葉を素っ気なく遮った依玖さんに、簡潔に紹介される。
完全に傍観者になっていた私は慌てて頭を下げた。
「初めまして、一路逢花と申します」
「どうか頭を上げてください。急に申し訳ない、どうしてもお会いしたくてね。依玖の父です。無愛想で頑固者の息子が迷惑をかけていないだろうか?」
「依玖さんにはとてもよくしていただいています。突然のご報告できちんとご挨拶にも伺えず申し訳ございません」
声が震えそうになるのを必死にこらえて、失礼のないように返答すると、なぜか義父となる人は私をじっと見据えてきた。
「不躾ですまないが、息子のどこが気に入ったのか教えてくれないかな?」
「父さん!」
「いいだろ、これくらい。母さんから頼まれたんだ」
親子のやり取りを横目で見つつ、速まった鼓動を抑え込むように口を開く。
「私を、必要としてくださって、一緒にいようとしてくださるところです」
彼の魅力は多々あるけれど、最初に惹かれた点を答える。
あの日、彼が私の願いを聞いてくれたからこそ立ち直れて、本当の恋に出会えた。
「時間がないから後日挨拶に行くと数回説明したはずですが、父さん?」
フロントの前で佇む長身の男性に驚きもせず反応した依玖さんが、眉根を寄せる。
「やっと結婚を決めた息子の妻となる女性に会いたいのは当然だろう。母さんも来たがっていたんだが準備が間に合いそうになくてな」
「逢花、父だ」
上機嫌の男性の言葉を素っ気なく遮った依玖さんに、簡潔に紹介される。
完全に傍観者になっていた私は慌てて頭を下げた。
「初めまして、一路逢花と申します」
「どうか頭を上げてください。急に申し訳ない、どうしてもお会いしたくてね。依玖の父です。無愛想で頑固者の息子が迷惑をかけていないだろうか?」
「依玖さんにはとてもよくしていただいています。突然のご報告できちんとご挨拶にも伺えず申し訳ございません」
声が震えそうになるのを必死にこらえて、失礼のないように返答すると、なぜか義父となる人は私をじっと見据えてきた。
「不躾ですまないが、息子のどこが気に入ったのか教えてくれないかな?」
「父さん!」
「いいだろ、これくらい。母さんから頼まれたんだ」
親子のやり取りを横目で見つつ、速まった鼓動を抑え込むように口を開く。
「私を、必要としてくださって、一緒にいようとしてくださるところです」
彼の魅力は多々あるけれど、最初に惹かれた点を答える。
あの日、彼が私の願いを聞いてくれたからこそ立ち直れて、本当の恋に出会えた。