別れさせ屋に依頼をした私の結末
別れさせ屋に依頼をした私の結末

Card 01 ♠︎ サイゴノキリフダ


うちの学校には正体不明の別れさせ屋がいる。

──このウワサ、うちの高校の生徒なら一度は耳にしたことがあるはずだ。

入学して1年が経つというのに話せる相手はまだ4、5名程しかいない──そんなコミュ力低めの私、水城 舞千佳(みずき まちか)の耳にも届くほど、それは有名な話だった。

SNS上では依頼専用のアカウントまで作られていて、それを拡散する生徒も沢山いたので、最近では他校でも話題になっているらしい。

私もそのアカウントは見かけたことがあるのだけれど、ウワサ自体は信じていなかった。

耳にしても「どうせ作り話でしょ?」と話半分で聞いていたし、アカウントも「誰かがなりすましているのだろう」と考えていたのだ。

そこまで疑っていたはずなのに、私ってば自分にも別れさせたい男女ができた途端、都合よくこれまでのウワサを思い出すようになった。

──「成功率は100%なんだって。どんなにラブラブでも、ターゲットにされたら絶対に別れちゃうらしいよ」

──「結構いるみたいだね、頼んだことがある人」

別れさせ屋の正体は明かされていないし、頼んだ人が誰なのか明確になっていたことなんて一度もないのに、成功率なんてわかるものなの?

ウワサはいつでもあいまいなもの。きっと、沢山の尾ヒレが着いているはずだ。

そう思っていても、気がつくと送信していた。「もしも、本当に」と、半信半疑で書いた依頼のメッセージを。

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