別れさせ屋に依頼をした私の結末

逃げるのをやめて、図書室に留まった。

だけど、16時半が近づいてもそれらしき人は現れなくて、何もしないで待つことに疲れた私は、暇をつぶせるよう本棚の前に立つ。

そして、イラスト付きの読みやすそうな小説を手に取ったのだけれど、それがダメだったのだろう。

いつの間にか睡魔に襲われていた。


「……やば、寝っちゃってた」

片腕に伏せる態勢で目が覚めた。

本は頭のそばで閉じたまま転がっていて、ひと気がないとはいえ、迷惑な生徒だったに違いない。

図書委員がどんな表情で自分を見るのか気になって、顔を上げたのだけれど、カウンターのほうを見る前に、視界の隅に人影があることに気がついてしまった。

「……っ」

ごくりと唾をのんだ。

同じテーブルの斜め前。窓がある壁にもたれるようにして、こちらを向いて座っている男子生徒。いくつもテーブルがあるのに、あえて、同じ席に座っているなんて……。


まさか。そう心の中でつぶやいたとき、こちらを向いていた彼は組んでいる足を元に戻した。

「おはよう」

当たり前のように声をかけられる。
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