別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……それって」

別れた理由として頭に浮かんだのは、寺尾の顔。

でも、今日の美奈は寺尾と一緒に過ごしていなかった。キングが動いたのかもしれない。

もしも、キングが動いたことで、寺尾との関係が上手く行ってないのなら、岡垣くんに戻ろうとは思わないのだろうか。

こんなふうに、きっぱり「別れた」と言えるほど、気持ちは寺尾に傾いていたってこと？

それとも、岡垣くんから別れを切り出したの？　寺尾と過ごすことに腹を立てた、とか？

けれど、一昨日の放課後、美奈と一緒にいた岡垣くんは怒ってなさそうだったし……。

色んな理由を考える中、もうひとつ、美奈の言葉から生まれた考えが頭の中を占めていく。

「原因は……、私だったりする？」

別れたというタイミングで、私に「隠さなくていい」と言ってきた。

美奈は私が岡垣くんを好きだったことに気づいていた。私の気持ちを知ったことで、岡垣くんとの関係を続けていけなくなった、とか？

そう考えると、

“マチだけには言いたくない”

あのときの美奈の言葉にも納得がいく。

「私の気持ちを考えて、岡垣くんと別れたってこと……？」

そうだったのなら、急いで美奈の誤解を解かなくてはいけない。

私はもう岡垣くんのことをなんとも思っていないと伝えなくちゃ。

そう決めていたのだけれど――

「……マチって、ポジティブだよね」

美奈は問いかけた私にため息をつく。

口角を上げて笑っているようにも見えるけれど、その表情はどこか苦しそうで。

そういうわけでもなかったのか、と思い直した時、彼女は続けて口を開く。
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