別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……」

頭の中が真っ白で、もう何も考えられなくなっていた。

ぼんやりと、美奈を見つめていると、彼女は間を置いてからつぶやく。ごめんね、と。

その言葉は、私の涙腺を一気に緩めた。

「マチ、あの人といい感じみたいだけど、まだ付き合ってはいないんでしょ?」

たずねられても、返事なんてできなくて。

「お願い。……あの人よりも先に、大樹のことを考えてはもらえないかな?」

美奈はもう次のことを話しているけれど、私の頭はまだ混乱したままで。

「大樹とマチは両想いだったから。私が邪魔をしていなければ、付き合ってたはずだし」

涙ぐむ私を目にしても、美奈は平静だった。

まるで、私が泣くことを知っていたみたい。

「待って、美奈……」

一度、頭の中を整理したい。そう思って、ストップをかけたのだけれど。

「絶交でいいから。……嫌われるのを覚悟して、この話してるから」

美奈は話すのをやめなかった。
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