別れさせ屋に依頼をした私の結末
Card 02 ♥︎ ババヌキ
「……私の親友です」
自分との間柄を口にすると、別れさせ屋の彼は私から目を離し、右手の親指と薬指の指先を合わせ、カチカチと爪を鳴らし始めた。
その仕草から呆れられているような気がし、私は慌てて言葉を付け足そうとする。
けれど、
「親友と、もうひとりは誰?」
先に理由を言おうとしたのだけれど、間髪入れずに次の質問をされた。
「……同じクラスの、寺尾健児(てらおけんじ)」
その名前を口にすると、鳴らされ続けていた爪の音は止まり、彼は体をななめに傾け、制服のズボンのポケットから手のひらサイズの四角い箱を取り出した。
「了解。マツヤマミナと、テラオケンジね」
そう言ってパカッとふたを開ける。
「え……」
「ん?」
「理由、聞かないんですか?」