別れさせ屋に依頼をした私の結末
「岡垣くんから聞いたよ。美奈がついたウソのこと」

昨日のあの言い方じゃ、どういうウソをついていたのか、よくわからなかった。

その件について、岡垣くんに遠回しな言い方でたずねてみると、どうやら、美奈は岡垣くんにも正直に話し、ウソをついたことを謝っていたらしい。

「バレー部の試合があることを私には黙ってて、岡垣くんには私が行かないと言ったことにして、ひとりで応援に行ったとか。……そんな小さなウソ、いつまで引きずってるの?」

「小さくなんかっ……!」

「小さいよ。岡垣くんから聞いたとき、正直“そんなことか”って思った」

ムキになる美奈の言葉をさえぎる私。

当時の自分だったら、怒っていたのかもしれない。

でも、今の私にとっては、くだらなく感じてしまうほどのウソ。

「美奈さ、岡垣くん……女の子の髪型ではどれが好きか知ってる?」

多分、美奈は今も知らないはずだ。

だって、付き合ってからも全く髪形を変えようとしていないから。

たずねてみると、案の定、美奈は首を横に振る。

「ロングだよ。……私もそれは、美奈に言ってなかった。1年のとき、美奈も岡垣くんを好きなんじゃないかって思うことがあったから……。こっそり、自分だけ伸ばそうとしてた」

セミロングくらいになったら告白しようとまで考えていた。

美奈がついたウソって、多分、それと似てるよね。

「だから、おあいこだよ」
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